舒明天皇がお作りになった歌
いつも夕方になると小倉の山で鳴く鹿が、今夜は鳴かない。寝てしまったのだろうなぁ
額田王の歌
熟田津で船に乗ろうと月の出を待っていると、潮もよくなってきた。さあ漕ぎ出そう
軽皇子が安騎の野に野宿なさったとき、柿本人麻呂が作った歌
東の野にあけぼのの光がさしそめて、振り返ってみると月は西空に傾いている
子供たちを思って作った歌
瓜を食べると子供の事が思われる。栗を食べるといっそう子供の事が思われる。いったい子供というものはどこから来たものだろうか。むやみに目の前にちらついて安眠させないことよ
反歌
銀も金も玉もなんの役に立とうか。どんなに優れた宝でも子供に及ぶだろうか。いや及びはしない。
神亀元年の冬十月五日、紀伊の国に天皇が行幸なさったときに、山部赤人が作った歌
若の浦に潮が満ちてくると干渇がなくなるので、葦辺をさして鶴がなき渡っていく
二十五日に作った作った歌一首
うららかに照っている春の日に雲雀が空へ上がっていくとは心悲しい事だ。ただ一人で物思いにふけっていると。
多摩川にさらす手織りの布の、そのさらさらした感触ではないが、さらにさらにどうしてこの子がこんなに甚だしく愛おしいのだろう
わたしの着物の裾に取り付いてなく子供達を置いてやってきてしまったのだなぁ。あの子たちには母親もいないのに。