わやくの部屋

UNICORN 2 -Lesson 4

The International Space Station
国際宇宙ステーション

Section 1

宇宙の移動実験室がサッカー場と同じくらい大きいと想像できますか? 晴れた夜には空を(横切って)移動しているのが見えます。特に、日没直後や日の出直前に。(それは)国際宇宙ステーション、すなわちISSです。ここでは宇宙飛行士が地上400㎞で生活しています。ISSは少なくとも2020年まで稼動を続けると期待されています。この時までには約20年、地球の周りを回り続けていることになります。

 日本を含む15の(異なった)国がISSを運用しています。低重力条件の下でたくさんの先端的実験が行われています。物質相互の重さの違いはISSではほとんど問題になりません。このことは、いろいろな物質(水と油のような物質でさえも)が完璧に混ざり合って、決して分離しないことを意味します。この特徴を利用して、均質な半導体の結晶が作れます。これは携帯電話やコンピューターのような必要不可欠な現代の道具の性能を向上させるでしょう。ISSが役目を終える時までには、数多くの研究分野で驚くべき成果を上げていることでしょう。

 ISSは(科学実験と)同じように観測基地としても活動しています。地球からでは手に入れられない情報を集めていて、科学者は宇宙と地球の始まりや生命の起源について知ること(→についての理解が進むこと)を望んでいます。

Section 2

科学的実験と宇宙観測がISSの唯一の目的ではありません(→科学的実験と宇宙観測だけがISSの目的なのではありません)。もう一つの大切な目的は火星や火星を超えての(→火星以遠への)長い旅をする宇宙飛行士にとって必要な経験や知識を手に入れることです。宇宙は人間にとって厳しい環境です。宇宙空間で健康でいられる方法を学ぶ必要があります。この研究は宇宙医学と呼ばれています。ISSの宇宙飛行士は実験者や技術者であるだけではなく、医学研究のための実験台でもあるのです。

 宇宙に行くほとんどの人(「多くの・たくさんの人」と訳しては、絶対にいけません)は宇宙病に悩まされます。しかし、約1週間すれば、何とか無重力環境に慣れてくるのですが、骨と筋肉は慣れてきません。重力に抵抗する必要がない宇宙に長くいればいるほど、骨と筋肉は弱くなります。健康的な骨と筋肉を維持することが長期間の宇宙旅行中には必要です。ISSの宇宙飛行士は肉体の変化を食い止めるために運動をしたり薬を飲んだりします。

 しかしながら、こうした体の変化を経験することは完全に悪いというわけではありません。こうした急激な変化に関する医学的研究を通じて、骨と筋肉が弱くなっていくメカニズムが理解できるようになるでしょう。この研究による発見は高齢者が地球上で抱えているよく似た問題を解明するのに役立つでしょう。

Section 3

ただ単に体を健康に保つだけでは宇宙に長期間滞在するには十分ではありません。宇宙飛行士は最長で連続438日間宇宙に滞在したことがありますが、火星への往復旅行には500日以上かかるはずです。長い間、狭い場所に閉じ込められることは心理的な課題の1つです。そして、これは宇宙飛行士には大きなストレスの原因になるでしょう。

 ストレスを軽減するために、たくさんの対策が宇宙飛行士によってとられます(→宇宙飛行士は多くの対策をとります)。地球での生活様式にできるだけ似ている生活様式を維持するためです。対策(のうち)の一つは睡眠に関するものです。ISSは90分で地球を1周します。1周には45分の昼と45分の夜があります。体内時計を正常に保つ(→乱さない)ために、宇宙飛行士は1日24時間の普通の周期を続けられるように「夜」の間は照明を消します。

 食べ物もまた大切です。いろんな食べ物が「食べ飽き」を避けるために提供されます。面白いことに、香辛料のきいた食べ物が宇宙空間では好まれます。もしかすると、この理由の一つは無重力のせいで体液が体の中で上に上がるからかもしれません。その結果、鼻づまりを引き起こし、味覚の大切な部分である嗅覚が弱まるのです。

Section 4

そうした問題に直面するほかにも、長い間、限られた資源を使って閉じ込められた空間で生活できるようなシステムも確立しなければいけません。明らかに、宇宙のかなたまで必要なだけの空気と水をすべて持って行くことは不可能です。私たちが地球上で限られた資源をうまく使ってやりくりしていかなければいけないのと同じように、宇宙飛行士は限られた資源で間に合わせなければいけないという意味で、ISSは「小さな地球」なのです。例えば、おしっこのような排水は飲み水を作るために循環利用されます。再生利用された水の一部は乗組員用の酸素を作るためにも使われます。こうした種類の技術は地球上でも応用できるでしょう。

 ISSはもう一つ他の意味でも同じように小さな地球だと言えます。ISSは多くの異なった国の人たちの共同作業によって克服された様々な難題の成果です。世界の主な大国が同じ目標に向けてこんなにも密接に力を合わせて活動してきている状況は他には一つもありません。

 皆さんは他の惑星を訪れることは決してないのかもしれませんが、子供たちや孫たちが地球の外に住んでいるという可能性は十分あります。(人類は)少しずつ進歩しています。上空を周回している巨大な人工建造物は、私たちの夢の、まさに象徴なのです。