わやくの部屋

UNICORN 1 -Lesson 9

Vertical Farming
垂直農法

Section 1

私たちが今日、直面する地球規模の問題のうちの1つは人口増加です。2011年に人類の数は70億人に達しました。国連は、2050年までに人類は最高約92億人に達すると見積もっています。人口がこのように20億人増えるということは、食べ物を提供すべき、新しく養うべき人が20億人増えるということです。

現在、農業に適する土地の80%以上が使われています。これは南米の大きさと同じ面積です。人類は広大な面積の森林を農地に変えてきています。このような従来からの方法で農業を続ければ、2050年に十分な作物を生産するためには、あと21億エーカーの土地が必要になるでしょう。これはブラジルの大きさと同じです。こんなにも広い新たな農地はどこにも存在していません。

農地不足は、こうした増える人みんなのための食料をどこで育てるのかという重要な問題を提起します。(唯一の)答えは垂直農法かもしれません――何十階もの高さの建物の中で作物を育てることです。この新しい農法は、効率的で環境に優しい方法で作物を生産することを可能にしてくれるはずです。

Section 2

「横に広く」作物を育てる代わりに「上に高く」作物を育てることが垂直農法の取り組み方です。ガバナーズ島やハドソン・ヤードにある30階建ての高層ビルが、クリーンなエネルギーを作り、廃水をきれいにしながら一方では、果物や野菜や穀物を生産するのを想像してごらんなさい(=果物や野菜や穀物を生産しながら一方では、クリーンなエネルギーを作り、廃水をきれいにするのを想像してごらんなさい)。どの30階建ての農場も55,000人に食料を供給できると見積もられています。150棟の30階建ての農場があれば、全ニューヨーク市民、すなわち800万人以上が1年を通じて新鮮な野菜と果物を食べられることでしょう。

この計画は達成するのが難しすぎるように聞こえるかもしれませんが、垂直農法のための方法のほとんどは、もう既に存在しています――ハイテク温室の中に存在しているのです。屋内農法は農作業の工程で、光の量と同じように温度、水などすべてをコントロールできます。その上、屋内農法の1エーカーは、少なくとも屋外の4~6エーカーに相当します。

ここに実際の例があります。フロリダにあるイチゴ農園がハリケーンによって破壊された後に、その農園の所有者は水耕農場を作りました。イチゴを屋内の棚で栽培することによって、その農園主は以前だったら30エーカーが必要だったものを1エーカーで生産できました。次のセクションでは垂直農法の実際を見てみましょう。

Section 3

「水耕栽培」と「水気耕栽培」というハイテクな方法が発達しなかったとしたら、垂直農法は考えられなかったことでしょう。この2つの農法には、基本的に土も大量の水も必要ありません。この農法は、ここ10年で飛躍的に良くなってきていて、自由に屋内作物を生産できる方法を(大きく)変えてきています。ハイテク温室農法は、すでに世界中の多くの場所で使われています。

ハイテクな方法を使うことによって、垂直農法は生産高を驚くほど増やしています。生産高が増えることで、垂直農法は直接もう1つの問題――都市への人口集中という問題――に取り組んでいることにもなります。世界の人口の60%が、2050年までに都市部に移動しているだろうと言われています。もし都市の中心部やその周辺に垂直農園を配置すれば、都市に住む人に1年を通じて新鮮で健康な農産物を供給できます。

その上、もしお皿の上に(→食卓に)並ぶ食べ物全部が同じ街区からもたらされるなら、世界中からの農産物を冷凍し運ぶために(訳者注:この部分を「冷凍するためや世界中から農産物を運搬するために」と訳すのは間違いです。 and の結び付けるものについての考えが足りません)、現在、使われている膨大な量の燃料を節約できることでしょう。燃料使用のこうした減少から判断すれば、垂直農園は(食料増産の面だけではなく)環境面でも恩恵をもたらしてくれると言うことができます。

Section 4

垂直農法にも問題がないわけではありません。この農法を実施すると、年間を通じての収穫を支える照明と機械類にものすごい量の電気を使う、と主張する評論家もいます。また、ハイテク農業の実践と温室建築技術を融合する方法を理解する(→確立する)には様々な分野の専門家のグループが数年を費やすことになるだろう、と指摘する評論家もいます(訳者注:この2文に別れている英文は、日本文では1つにまとめて、「……電気を使うし、また、……費やすことになるだろう、と主張する評論家もいます」とした方が、圧倒的に優れた日本語です)。

しかし、イギリスの企業は、実際に垂直農法を実行に移しています。この企業は、通常の温室の8倍の量の野菜を生産する6mの高さの温室をぺイントン動物園の中に作りました。園内の動物たちは、年間を通じての新鮮な野菜と果物の生産から(→1年中ずっと新鮮な野菜と果物を作れることで)利益を得ています。

垂直農園を実施すれば、2つの問題の解決策になるでしょう。環境に更なるダメージを与えないで増え続ける都市の人口を養う食用作物を生産できますし、また、農地を森林地域に戻すこともできるでしょう。

人類の未来は、私たちが環境に対して責任ある方法で生活するかどうかにかかっています。もし自然界での人類の役割を(新しい視点から)評価し直せば、本当に持続可能な社会を発展させることができるでしょう。