わやくの部屋

UNICORN 1 -Lesson 7

Why Are You Sleepy ?
なぜ眠いの?

Section 1

動物は睡眠がないと生きられません。時には危険な状況で寝なければいけません。イルカが寝るときは、水中の周りの状況を把握し続けるために、脳の半分は起きたままにしておきます。マガモが1列になって寝るときは、列の両端の2羽が自分たちを守るために脳の半分を油断なく気を配っている状態(→脳の半分を警戒状態)にして、片方の目を開けておきます。もしすべてのマガモが深く眠ってしまったら、捕食者の餌食になっていることでしょう。

もちろん、人間も寝ます。しかし、なぜ眠るのでしょうか? 睡眠の専門家でさえも眠る理由を正確には知りません。米国の睡眠研究の草分けウィリアム・デメントが質問されたときに、こう答えました。「知っている限りでは、眠る唯一の理由は眠くなるからです」

50年以上前に大学生だったときに、デメントは人間の睡眠には2つの種類があることを発見するのに貢献しました。この2つは今ではレム睡眠とノンレム睡眠としてよく知られています。

Section 2

眠るときに、レム睡眠とノンレム睡眠の間を行ったり来たりします。レム睡眠中は活動的に夢を見たり、心拍数や呼吸がかなり不安定になります。ノンレム睡眠には3つの段階があります。深く眠れば眠るほど、脳と体がよりリラックスします。

1つの実験で研究者は学生たちに学習テストと記憶テストを行いました。学生たちはテストの後で仮眠をとることを許されました。それから全員がもう1度テストを受けました。睡眠はいくつかの方法で脳を手助けしました(→脳にいい影響を与えました)。面白いことに、ノンレム睡眠しか持たなかった学生は、記憶力テストで成績が良くなりました。一方、レム睡眠を経験した学生は、文法のようなパターン認識作業で成績が上がりました。

ノンレム睡眠の第2段階では脳は、その日学習したことを思い出し、長期記憶に所属させる(→定着させる)ことを発見した研究者たちもいます。新しい情報のための場所をあけるためには、脳の短期記憶の保管場所を空にする必要があることもわかりました。ノンレム睡眠の1つの目的は、大切ではないことを忘れさせることで、大切なことを記憶するのに役立つことだということが、今でははっきりしています。

Section 3

下の図表は大人の睡眠の周期を示しています。大人はレム睡眠に約90分毎に入っていきます。もし、脳と体が休むのに第3段階が特に役立つと考えると、大人が第3段階に達する回数が少ないというのは面白い事実です。大人は睡眠時間の大半を第2段階で過ごします。目が覚めるまでには、大切な記憶を脳に保管し終わっているに違いありません。

年齢に応じて睡眠のパターンは異なるということも、研究者たちは見つけています。図表1は3歳の女の子の脳の活動を示しています。眠り始めてすぐに、深い眠りに入ります。この年齢の子供たちは睡眠中、大人より頻繁に目が覚めます。幼児期には、レム睡眠で過ごす時間の割合は50%です。幼児が子供へと成長するにつれて、この割合は25%になります。

図表2は89歳の女性の睡眠パターンを示しています。まるで子供のように、やむことのない覚醒を持っています(→何回となく目覚めています)。しかし、第3段階で過ごす時間は、子供よりずっと少ないのです。

Section 4

図表3は14歳の女の子が大人とちょうど同じように第2段階で睡眠時間の大半を過ごすことを示しています。10時に寝て、12時頃に第3段階に到達するのに2時間かかります。約9時間の睡眠が10代の若者には一番いいと考えられていますが、5人に1人しか、そんなに長く寝ていません。忙しい日程のせいで、十分な睡眠をとるのが難しいと気づいているのは残念なことです。

人生の約3分の1を寝て過ごします。3分の1も寝るのなんて時間の無駄だと考え、出来るだけ少なく寝ようと努力する(→できるだけ睡眠を減らそうとする)かもしれません。しかし、良質な夜の睡眠が頭をハッキリさせ、(体を)リフレッシュさせてくれること(→夜ぐっすりと眠れば、頭がスッキリし、元気が出てくるの)は否定できません(→確かです)。さらに、睡眠が記憶に大切な役割を演じていることが、今では分かっています。

質の高い睡眠は、私たちみんなにとってかけがえのないものです。特に高校生の君には大切です。疲れを振り払って、学習を進めるのに役立つからです。睡眠は人生の基本の部分で、起きている時でさえも味方になってくれるのです。