わやくの部屋

UNICORN 1 -Lesson 2

Dewey the Library Cat
  デューイ、図書館ネコ

Section 1

1月のひどく寒い月曜日のことでした。いつものように、朝早くスペンサー市の公立図書館の仕事場にやって来ました。正面玄関のカギを開けるとき、本の返却箱から何か音がしました。本の後ろにちっちゃな、泥だらけの子ネコがいました。震えながら、悲しそうにこちらを見上げました。

子ネコを持ち上げて箱から出しました。生きている動物がこんなにも冷たくなれるなんて信じられませんでした。洗面台( or台所の流し )で温かいお風呂に入れてあげました。それからドライヤーで乾かしました。30秒もしないうちにきれいな長い毛のオレンジ色のしまネコが腕に抱かれていました。

Section 2

図書館でその子ネコを飼うことに決めました。メルビル・デューイにちなんでデューイという名前を付けました。デューイはすぐに新しい環境が気に入りました。

毎朝、デューイは正面玄関で最初の利用者を歓迎します。みんな「やあ、デューイ、今朝は元気?」と言って答えてくれます。それからデューイはひざを探します。入館者のひざで寝るのが大好きなんです。利用する方もひざでデューイが寝てくれるのが大好きです。みんなデューイをかわいがり、話しかけます。「今日はうれしそうね、デューイ」

ひと眠りの後は何か面白いことを見つけに、図書館の中を歩き回ります。探検する場所には事欠きません。図書館員がカートに本を積むと、いつもカートに跳び乗って、図書館一周旅行をせがむんです。

Section 3

デューイは人なつっこくて、みんなの人気者です。特に子供たちには人気です。子供たち(のうち)の多くが読み聞かせの時間に参加するために図書館にやって来ます。読み聞かせの部屋では子供たちはデューイを呼びます。「デューイはどこ?」「あっ、デューイがいた」「デューイ、私のとこに座って」 それからデューイは誰か幸運な子のひざでまるころまるのです。

ある日、体に障害のある11歳の女の子クリスタルが読み聞かせの時間にやって来ました。車いすに座って、悲しそうにひざを見ていました。誰にも話しかけませんでした。

ひょっとするとデューイはクリスタルが一人ぼっちなのに気づいたのかもしれません。まっすぐクリスタルのところに行って、ひざに跳び乗ったのです。クリスタルは泣いていました。でも、それは喜びの涙だったのです! 今では、クリスタルが図書館に来るといつも、デューイはクリスタルのそばにいます。

Section 4

デューイが来てからは、図書館はすごく変わりました。入館者数は増え続けています。みんなデューイと楽しく過ごし、その幸福感をスペンサーの街の周りの家庭に、学校に、職場に持って帰ります。

今では、みんなお互いに(以前より)ますますたくさん話をしています――もちろんデューイのことです。

「図書館に行ったんだよ。」
「デューイはいた?」
「もちろんさ。実はね、高いとこにある本に手を伸ばしたら、本じゃなくってデューイをムギュッてつかんじゃったんだよ。びっくりしてさ、本、つま先、直撃だよ。」

デューイは小さな図書館を、街の人を結びつける場所にかえたのです。デューイは単なる図書館のネコではありません。スペンサー市のネコです。