わやくの部屋

PRO-VISION 1 -Lesson 4

Beavers, Engineers of the Forest
ビーバー、森の技術者

Section 1

今この写真が何を映し出しているのかわかりますか。

それはビーバーによって作られた世界最大のダムです。

そのダムはカナダにあり、全長850 メートルになります。

ビーバーは偉大なダムの建築家です。

彼らは鋭い歯で木々を切り倒し、枝を切り落とし、それらを一つ一つ川に運んで積み上げます。

このようにしてダムは完成します。

ビーバーのダムは水の流れをせき止め、大きな池を作ります。

ビーバーは、人間以外でこれほど大規模に環境を変える力を持つ唯一の動物です。

ビーバーは自分自身の身を守るためにダムを作ります。

ビーバーは泳ぎがとても上手ですが、地上では動きがゆっくりとしていて、熊やコヨーテに簡単に捕獲されます。

安全な家を作るために、ビーバーは池の中心部に枝を積み上げることで巣を作ります。

巣の入口は水面下にあるので、ビーバーは他の動物に攻撃されることを心配する必要がありません。

Section 2

北米とヨーロッパにはかつて何百万のビーバーがいました。

しかし、17 世紀に入るとビーバーの毛皮で作られた帽子が富裕層の男性の間でとても人気が出て、多くのビーバーが19世紀初頭になるまで毛皮を求めて殺されました。

そして絶滅寸前にまでなりました。

その後、シルクハットが誕生しました。

その帽子はビーバーの毛皮の代わりにシルクを使って作られました。

その結果、ビーバーの毛皮の需要が落ち、ビーバーの数は再び増えはじめました。

しかしながら、ビーバーが再び増えたことである問題が生まれました。決壊したビーバーのダムによって引き起こされる洪水という問題です。

大雨が原因でビーバーが作った池の水位が上昇すると、ダムは崩壊する可能性があります。

それが引き起こす結果が惨たんたるものになることがあります。

道路、住宅、そして農場が水浸しになり、作物が大きな損害を被るかもしれません。

それゆえビーバーはときに厄介者として見られます。

Section 3

最近の研究によれば、ビーバーは森の生態系に重要な役割を果たしていることが明らかになりました。

「ビーバーは奇跡的なことをします。地域を湿地帯に変えることで、地域の生物の多様性を取り戻すのです」と米国森林局のスザンヌ・フォーティ博士は言います。

ビーバーがダムを建設すると、ガンやカモのような水鳥がビーバーの作った池に集まります。

多くの種類の植物がそこに育ち、動物がそれらを食べにやってきます。

数十年たつと、自然と池は下流に流れてきた泥で埋め立てられます。

そうなると、ビーバーは別の場所に移動します。

後に残された豊かな土地は草地になり、シカやリスのような草食動物が餌を食べにやって来ます。

環境を変えることで、ビーバーは多様な生物を森に引きつけます。

ビーバーは森の生態系のエンジニアなのです。

Section 4

アメリカ合衆国のワシントン州では、地域の川を救うためにビーバーを使うことについての実験が行われています。

科学者は、ビーバーを他の地域から連れて来て、彼らを使って他の野生生物を川に引きつけることで生物の多様性を取り戻そうとしています。

ワシントン州のいくつかの川では、以前、サケの数が減少していましたが、ビーバーが放たれて以来、数が増えはじめています。

ビーバーが作る池はサケの稚魚が育つのには安全な場所を提供しているのです。

ビーバーは自然環境を変える驚くべき能力を備えています。

私たち人間がビーバーからの助けを望むのであれば、私たちはビーバーに彼らが必要としているもの、すなわち生きるための十分な空間を与えなければなりません。

だから、私たちはビーバーの自然の生息地を壊さないように注意する必要があります。

ビーバーが洪水を引き起こす単なる厄介者になるのか、それとも環境保護の「ヒーロー」になるのかは、私たちにかかっているのです。