わやくの部屋

PRO-VISION 1 -Lesson 2

Oh Bento!
おお、弁当!

Section 1

「唐揚げを一つどう?」と女の子が言います。

「ありがとう!」と彼女の友だちが答えます。

これはあるアニメの一場面です。

女子生徒が昼休みにお弁当を食べています。

みなさんもおそらくこの女の子たちのように、昼食にお弁当を何度も食べたことがあるでしょう。

しかし、ほとんどのフランス人は、日本のアニメを見るまで、そのような昼食を見たことがありませんでした。

彼らは人々がお弁当を食べている場面に、とても興味を持ちました。

フランス人にとってそれは小さな箱にご飯と美味しいおかずが詰められたフルコース料理のように映りました。

フランス人は、美味しい食べ物を料理したり、食べることがずっと大好きで、フランスはグルメ文化で有名です。

日本のお弁当はフランスの人々の心をつかみ、人気を得ました。

今やお弁当は他の国々へも広がっています。

Section 2

パリのお弁当屋さんを覗いてみましょう。

さまざまな種類の日本の食材で作られたお弁当が棚に並んでいます。

中にはパリっ子の味覚に合うようアレンジされた食材も使われています。

例えば、冷たいうどんがごまソースと混ぜ合わされていたり、おにぎりにドライトマトとパセリが入っていたりします。

ニューヨークでは、2013年に「駅弁」つまり「駅で販売されるお弁当」がグランド・セントラル駅で販売されたことがあります。

観光客やニューヨーカーがこうしたお弁当に魅せられ、熱心に買い求めました。

例えば、アメリカ人の味覚に合った豆腐バーガーの駅弁が販売されました。

なぜ海外のお弁当ファンは、これほどまで日本のお弁当を好むのでしょうか。

ほとんどの人からは、お弁当にはいろいろなものがたくさん入っているから、美味しいから、見た目が美しいから、健康によいから、といった答えが返ってきます。

Section 3

海外の人びとは、私たちと同じように「弁当」という言葉を使っています。

「弁当」という言葉には、英語の“boxed lunch”にはない、独特の含みがあります。

一般に、お弁当はご飯を中心にいろいろな味つけをされた数種類のおかずが加わり、それらがすべて小さな箱の中に詰められています。

それは、和食の伝統に従い、彩り豊かでバランスがとれた食事です。

和食には、五味五色の食材を使い、五法の料理法で調理するという伝統があります。

五味は、塩味・酸味・苦味・甘み・辛みです。

五色は、白・黄・赤・緑・黒です。

五法は、生・煮る・焼く・揚げる・蒸すです。

盛り付けのしかたも重要です。

日本人が使う格言に「まず目で味わう」というものがあります。

見た目が美しく、栄養価の高い日本のお弁当は、この伝統に影響を受けているのです。

Section 4

弁当は世界的なものになりつつあります。

フランスと日本は、2013年から毎年国際的な弁当コンテストを開催しています。

2013年大会の決勝進出者の一人はフランス人でした。

彼女のお弁当にはクスクスや蒸したジャガイモ、フレンチピクルス、チーズなどの食材が用いられていました。

弁当は、日本の食材や調味料だけを使って作らなければならないものではありません。

弁当は一種の食の提供方法ですから、どの国でも地元の食材を使って作ることができます。

「五味五色五法」を活かせば、だれでもその国独自の美しく、健康的な弁当を作ることができます。

私たちは自分たちの文化をあたりまえのものとして捉えていますが、海外の人びとは日本のすばらしさを発見し続けています。

日本のお弁当が世界の文化の一部になりつつあるということは驚くべきことではないでしょうか。

私たちはこの日本の伝統を、将来より多くの人びとと共有することができるのです。