わやくの部屋

ELEMENT 1 -Lesson 7

Biomimetics
バイオミメティクス

Section 1

バイオミメティクスは自然の仕組みから学びます。バイオミメティクスは、問題を解決するために自然が上手に行っているものを理解しようと努めます。また、バイオミメティクスは新しい科学技術を発展させようとします。バイオミメティクスという言葉は新しいけれど、人々は長年、いろんな製品を開発するために自然に目を向けてきています。

例えば、野生には先がとがった形をした植物の種もあります。森を歩くと、体にくっついてくるかもしれません。こうした種をセーターから取るのは難しいものです。

1941年のある日、スイスの技術者ジョルジュ・デ・メストラルは、山で散歩をして家に帰りました。飼っていたワンちゃんの毛にゴボウの種がついているのを見つけました。その時、じっくりと見てみました。そうした種が、なぜこんなにも簡単にくっついたのか理由を知りたいと思いました。ゴボウの種は、とがった先端に小さなひっかけるためのカギを持っている(→ゴボウの種のとがった先端には小さなフックがついている)のを見つけました。(このフックのおかげで)ゴボウの種は、毛や毛皮に簡単にくっつくのです。このようにして「ベルクロ」が初めて考案され、発明されたのです。

Section 2

水泳選手が競技会で勝つのに役立つ水着を作るために、水着のデザイナーは長い間、熱心に取り組んできています。人間はどのようにすれば魚のように泳げるのか、水着デザイナーたちは考え抜きました。ついに、新しいタイプの水着を作りました。サメの皮膚に似ている新しい素材で出来ています。2000年のオリンピックでは、水泳選手の半分以上がこの水着を着ました。素材に刻まれた多くの細かい線のおかげで、水中で(前よりももっと)速く泳ぐことができます。

この後で、他の種類の水着が、様々な生物から学びとることによって作られました。魚と鳥が例です。デザイナーは、こうした生物がどのようにして水に入り、水中で動くのか研究しました。主な目的は、水の抵抗を減らす素材の開発と形状の設計でした。結果として、多くの水泳選手が世界記録を破りました。

Section 3

また、バイオミメティクスは環境問題を解決するためにも使われます。500系新幹線は独特のデザインをしています。この新幹線の先頭のデザインには実用的な理由があります。最初の頃は、新幹線はトンネルに入るとき、大きな音を発生させました。デザイナー(訳者注:JRの場合は彼らを「設計技士」と呼びます)はこの騒音を減らそうと熱心に取り組みました。

ある日、鳥を見ていたデザイナーは、あるアイディアを思いつきました。そのアイディアとは、新幹線の先頭の部分をカワセミのくちばしのようにとても長くするというものでした。カワセミは水の中に飛び込んで、魚を捕まえるのがとても上手です。カワセミのくちばしの形は、水の表面からの抵抗をほとんど受けないで(水に)飛び込むことを可能にしています(→カワセミは、くちばしの形のおかげで、水の表面からの抵抗をほとんど受けずに飛び込めるのです)。同じようにして、新幹線のくちばしのような形は、騒音の原因となる空気抵抗を減らしてくれます。

Section 4

今日では、たくさんの科学者が、新しい科学技術のヒントを得るために自然に目を向けています。例えば、砂漠にすむトカゲを研究している科学者がいます。トカゲは足とトゲを少しずつ伝ってくる水を飲みます。科学者たちは、乾燥地帯で水を手に入れるための技術を開発することが可能だと考えています。

自然をいつもとは違う見方で見てみましょう。自然は、驚くべき仕組みとデザインでいろんな問題を解決してきています。自然の中に生きるものは、厳しい時代をずっと生き抜いてきています。何百万年も生き延びてきている生物は、デザインのおかげでうまくいっているのです。自然は、環境にダメージを与えないで効率的な仕組みを作り上げる優れたデザイナーです。こうした貴重なアイディアを守り、(自然の持つ効率的な)仕組みを学ぶべきです。身の周りに隠れている新しい科学技術のヒントを探し求めるのはいかがですか?