わやくの部屋

ELEMENT 1 -Lesson 5

Umami
旨味

Section 1

人間は、食べ物を楽しむのに五感(視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚)を利用します。

その中でも、食べ物がいかにおいしいかを伝える上で、味覚は最も重要です。

かつては甘味、酸味、塩味、苦味の4つの味しか知られていませんでしたが、新しい味が発見されました。

この新しい味は「うま味」と呼ばれています。

それは、魚、貝、加工肉、キノコ、野菜、緑茶、そして発酵食品といった、多くの食べ物に見られます。

Section 2

伝統的な料理に使われる主要な食べ物の多くは、うま味を含んでいます。

アジアでは、豆、穀物、発酵食品、椎茸、昆布、乾燥した魚介類にすべてうま味が含まれていることがわかりました。

欧米文化においては、うま味はトマトや、ハムやチーズといった発酵食品や加工食品の中で見つかります。

Section 3

うま味は、1908 年に池田菊苗によって発見されました。

彼は昆布だしを使って実験を行いました。

彼は昆布だしの中に、グルタミン酸というアミノ酸の一種を発見しました。

彼はまた、グルタミン酸には特有の味があることを見つけ、それをうま味と名づけました。

Section 4

それから池田は、グルタミン酸ナトリウム、すなわち MSGを作りました。

それは 1909年に初めて作られました。

MSGは、ものを甘くするのに砂糖を使うように、食べ物にうま味を加えるために使用されます。

MSGは、今ではファストフードレストランやスーパーマーケットにある多くの食品で使われています。

MSGは、使いやすくて安い上に、うま味が強いです。

Section 5

後に、グルタミン酸以外のうま味物質が発見されました。

1913年に、小玉新太郎がイノシン酸を、1957年に国中明がグアニル酸を発見しました。

両方とも、インスタントラーメンやポテトチップスのような食品に添加されています。

それらの物質が発見された後、多くの人々が、うま味が本当の味覚なのかどうか、またそれを5番目の味と考えるべきなのかどうかをつきとめようとしました。

Section 6

2000年にそれが変わりました。

マイアミ大学の研究者たちが、うま味の味覚受容体を発見したのです。

彼らは、これらの受容体の目的がグルタミン酸を味わうことであるのを見つけました。

これによって、うま味が本当の味であることを彼らは示しました。

Section 7

家庭で調理する人にとっては、うま味の利用法を学ぶことは、おいしい食事を作ることに役立ちます。

多くのうま味製品が台所で見つかります。

パルメザンチーズやその他の種類の熟成チーズ、醤油、ジュースやケチャップのようなトマト製品、ウスターソースのような魚を原料にしたソースがうま味製品の例です。

ある研究で、スープに少量のグルタミン酸が含まれていれば、赤ん坊はそれをより多く飲むことがわかりました。

そのため、赤ん坊があまり食べないとき、彼らがより多く食べる手助けをするために、うま味を使うよう親に提案する医師もいます。

うま味を利用することはまた、赤ん坊が健康的な食品を食べ始めるのにも役立ちます。

Section 8

うま味を使うことはまた、人々の健康を改善するためのよい方法にもなるかもしれません。

例えば、うま味を使って、食べる塩分の量を減らすことができます。

塩分を多く含んだ食品を食べることは、高血圧につながりかねません。

現代のほとんどの人々は、あまりにも多くの塩分を使いすぎています。

うま味は、風味に関しては塩の代わりには使えないが、一方で、人々は塩分の多い食品よりも、うま味食品のほうを好む傾向にあります。

日本とアメリカのある研究によると、たとえ食品に塩分があまり含まれていなくても、グ
ルタミン酸を加えることで、人々はその食品をより楽しめるようです。

Section 9

「和食」として知られている伝統的な日本食が、ユネスコの無形文化遺産の一覧に加えられて以来、世界中のシェフが、うま味が日本食でどのように用いられているかに興味を持つようになってきています。

最も有名な日本人シェフの1人である村田吉弘さんは次のように言います。

「世界中の多くの若いシェフが、日本食をとても熱心に研究しながらうま味を使っています。私がしたいことは、日本食の文化を売り込むことによって、世界中の健康に貢献することです。」