わやくの部屋

POLESTAR 2 -Lesson 3

Table for Two
――Helping Others as You Eat
2人のための食卓――食べながら同時に他の人を助ける

たくさん食べるものがある人はどのようにして十分な食べ物を持っていない人を救うことができるのでしょうか? この問いに対する単純だけど、とても効果的な答えを考えついた人が日本にいます。

Section 1

国連によると、栄養不足だと考えられる人が世界中で9億人以上います。一方、日本と米国を含む先進国では数多くの人が、食べ過ぎが引き起こす健康問題に苦しんでいます。

 「Table for Two( TFT )―2人のための食卓―」として知られる日本の計画は、世界の豊かな地域とそれほど豊かではない地域の間にあるアンバランスに取り組もうと努力しています。先進国の人と途上国の人が同じ1つの仮想テーブルで食事ができるのですよ、と提案することを、その名前は意味しています(→意図しています)。日本ではTFTが健康的だと認めた食事を注文することができます。日本で注文される1回分の食事につき20円の寄付が、エチオピア、ウガンダ、マラウイのような途上国に、その後、送られます。このお金はこうした国々では健康的な学校給食の支払いに使われます。こうして、TFTはここ日本で健康的な食事を推し進め、遠い国々では学童たちに栄養豊かな食事を提供しています。

Section 2

TFT計画は2007年に日本企業6社の社員食堂で始まりました。この計画を始めた人たちは、20円で途上国の学校給食1食分を支払うのに十分足りると判断しました。TFTの創設者小暮真久は、この小さな寄付が遠く離れた、あまり恵まれていない人たちと私たちを結び付けることができるとし、「私たち(日本人)が世界の信頼できる市民だということを20円の寄付が示すのです」と言います。

 TFTが提供する学校給食は、温かくて栄養たっぷりです。豆と野菜のソース(→シチューのようなもの)とトウモロコシ粉で作ったケーキといった食事が定期的に出されます。もしこのサービスがなくなったら、子供たちはバナナとかトマトのような加熱調理されていない食べ物を食べる他なくなってしまうでしょう。

 2008年末までに、100以上の企業と大学と病院がTFTに参加していました。今では、TFTが承認している食べ物と飲み物(の商品)がカフェや、コンビニや、さらには自販機でも売られています。合計すると、TFTは2011年9月の時点で1千万食以上(の学校給食)を提供できていました。この数は急激に増え続けています。

Section 3

TFT(の活動)は暖かくて栄養豊富な食事を子供たちに提供するだけにとどまりません。学校給食が子供たちに提供されますから、学校に持っていく食事を作る必要はもうありません。このことがより多くの子供たちに学校に行くことを励ましてきています(→このおかげで、もっとたくさんの子供たちが学校に通えるようになっています)。定期的に授業に出席するようになると、多くの子供たちが学ぶことの喜びを実感し、もっとたくさん勉強する気持ちになります。結果として、中学校に進学する生徒の割合が着実に高まってきています。

 先進国の人に国際社会に貢献する便利な方法を与えることで、TFTは先進国の人のためにもなっています。貧しい人たちの状況を改善するお手伝いをしたいと思う人はたくさんいますが、忙しすぎて出来ないのです。TFTに20円を寄付するというのは貢献する一番簡単で,最も効果的な方法の一つです。

 TFT計画に携わっているシェフは、もっと健康的なメニューを作り上げるよう意欲満々です。アフリカの子供たちの生活を向上させているのと同様に、日本の人の健康を増進させていると知り、大きな満足感を得ています。TFT計画に関わっている、ある熱心なシェフは「私の仕事はアフリカの子供たち(の顔)に笑みを届けることです」と語りました。この目的意識が事業に携わる人に特徴的なものです。

Section 4

Table for Two は今、活動範囲を拡大中です。ある最近の計画では、大学生たちができるだけたくさんの学食(=学生食堂・生協食堂)にTFTの考えを広げるために活動してきています。また、大学の近くのお店や食堂にこの計画(→TFT)を紹介しようと熱心に取り組んできています。

 日本での事業開始当初から、TFTは今や海外にも拡大しています。2008年に支局をニューヨークに設立し、1年後に活動を始めました。「米国は食べ過ぎが一般的な問題になっている主要な先進国ですから、米国で活動したいと思っていました。」と、TFTの小暮真久は言います。社会的企業の分野ですでに多くの経験がある国で活動するというやりがいのある仕事は大歓迎です、と付け加えます。

 「人は食で決まる」(注:このことわざにはいろんな日本語があてられていて、これで決まりという定訳はありません)という英語の格言があります。そして、実際に、食べ物は体と心の両方に栄養を供給するのです。TFTのスタッフは、児童たちが温かいお昼を食べると、将来への夢を語り始めると感じています。先生になりたいという子もいれば、看護師やお医者さんになりたい子もいます。こうした夢を現実のものにすることがTFTの本当の功績になるでしょう。