わやくの部屋

POLESTAR 2 -Lesson 2

Saving the Koalas in Australia
オーストラリアでコアラを救う
コアラはオーストラリアで一番よく知られた動物です。しかし、いろいろな理由から、コアラの数は減っています。ここでは、この人気者の動物を保護する試みをいくつか読んでいきましょう。

Section 1

人口増加と人間の活動は、野生生物にますます大きな影響を与えています。オーストラリアは、このいい例です――オーストラリアに住む生物種のうちの多くが、今や絶滅の危機にあります。観光客にあれほど人気のあるコアラでさえも、絶滅への道をたどっているようです。2003年、野生のコアラの数は約10万頭だと報告されました。2009年までに、この数は8万頭に落ち込んでしまい、2011年にはわずか4万頭に減りました。

こうした急激な減少を受けて、コアラを保護するグループ・オーストラリアコアラ基金(AKF)は、政府にコアラを正式に絶滅危惧種に認定するように要請しました。このグループは公的な保護がなければ、コアラは30年以内に絶滅するかもしれないと予測したのです。

科学者は、つい150年程前には約1,000万頭のコアラがいたと信じています。なぜコアラの数は、こんなにも急激に減少してきているのでしょうか? 1つの理由は、ヨーロッパからの入植者たちが街を作り、農地を作るために森の多くを切り倒したからです。もう1つの理由は、都市部から遠く離れた森が火事や干ばつで破壊されてきていることが挙げられます。結果的に、コアラは自然の生息地の広大な面積を失ってきています。

Section 2

しかし、環境破壊だけが、コアラの減少のたった一つの理由なのではありません。19世紀にコアラは毛皮のために広く捕獲されました。50年間で少なくとも300万頭のコアラが殺されました。

ようやく、人々は抗議し始めました。1930年、政府が行動を起こし、コアラを保護する法律が成立しました。しかし、こうした新しい形の保護にもかかわらず、食べ物の主な供給源の、ある特定の種類のユーカリの木の葉を失った結果として、コアラの数は減り続けました。過去2世紀で、ユーカリの木を含んでいた森林地帯の約80%が消失してきています。

したがって、コアラを保護するために、さらなる試みが行われました。コアラを自然保護区に移動させる計画が、その一つの例でした。しかし、新しい生息地では、移動してきたコアラのうちの多くが衰弱し、死んでしまいました。この理由を探るために、何人かの研究者がコアラを注意深く研究し始めました(→コアラを丹念に研究する研究者も現れました)。この動きが1986年AKFの設立につながりました。

Section 3

コアラの習性と生息地の研究を通して、ある特定の条件がコアラが生き延びるためには必要不可欠だということをAKFは見つけました。この条件は食べ物、敵からの保護、十分な生活空間を含んでいます。

まず第1に、コアラは大好物の種類のユーカリの葉っぱしか食べません。オーストラリアには約600種ものユーカリの木があります。しかし、この600種のうちわずか数十種だけが、コアラに食べ物を供給できるのです(→コアラの食べ物になるのです)。

第2に、コアラには眠れて、子育てのできる大きな木が必要です。コアラは1日に20時間も寝て過ごしますから、ディンゴのような天敵からコアラを守るためには、木は高くなければいけないのです。

第3に、支配的なオスのコアラは、自分の空間がなければ生きてはいけません。時には、サッカー場40個分以上もの(広大な)空間が必要です。この空間の周りでメスと子供の集団が暮らし、どの集団も自分たちの空間を占有します。また、自分自身の縄張りを持った若いオスたちもいます。

こうした難しい条件すべてを満たすことのできる土地だけが、コアラの集団を良い健康状態に保てるのです。

Section 4

AKFは、コアラにとっての脅威を人々に知ってもらうためにいろいろな活動を行っています。こうした取り組みの1つが、AKF独自の里親計画です。この計画では、人々は動物保護施設でコアラを育てるためのお金をAKFに寄付します。AKFは、証明書と養子になった子コアラの写真をそうした資金提供者に送り、正式な「里親」に指名します。

インターネットのおかげでオーストラリアの人々だけでなく世界中の人たちが、この計画に参加することが容易になってきています。自分たちの養子になった子コアラのもとを訪れ、成長を観察する人さえいます。このようにして、この計画は資金提供者に喜びをもたらし、コアラに命を与え、コアラが直面する問題を公にしています。

他にはAKFのコアラ生息地マップがあります。AKFは、人々にコアラの住んでいる地域に家を建てないように勧めています。さらに、この地図は、コアラの生息地域に新しい道路を建設させないことに役立っています。

AKFのウエブサイトを訪れたら、かわいらしい、ふわふわのコアラの写真をたくさん見つけられます。1つの画像は特に効果的です。1頭のコアラが君をまっすぐに見つめています。字幕には「木(ぼく)がないと、僕(ぼく)がない」と書いてあります。