ELEMENT 3 -Lesson 5

A Class from Stanford University
スタンフォード大学の授業

Section １

あなたが与えられたものが5ドルと2時間だけなら、お金を稼ぐために何をするでしょうか？

これはスタンフォード大学で担当しているクラスの１つで、学生たちに与えた課題です。

14チームがそれぞれが５ドルの入った封筒を受け取り、計画を立てるのには好きなだけたくさん時間をかけてもいいと言われました。

しかし、一度その封筒を開けると、彼らは2時間で、できるだけ多くのお金を生み出さなければなりません。

この課題を完了させるために、水曜日の午後から日曜日の夜までの時間を与えました。

それから、日曜日の夜にどのチームも、行ったことを書いたレポートを私に送らなければいけませんでした。そして、月曜日の午後にどのチームも自分たちのプロジェクトをクラスに発表するのに3分が与えられました。

Section ２

この課題を与えられたら、あなたは何をするのでしょうか？

私がほとんどのグループにこの質問をすると、「ラスベガスに行きます」とか「宝くじを買います」と、大声で言う人がたいていいるものです。

これは大きな笑いを誘います。

こうした人たちは大きな報酬を手に入れるとき、小さな可能性の見返りとして重大な危険を冒してしまうことでしょう。

次に最もありふれた提案は、5ドルを使って元手となる材料を買って、洗車場やレモネードスタンドを設けるというものです。

数ドルちょっとのお小遣いを2時間で稼ぐことに興味がある人にとっては、これはいい選択です。

しかし、結果的に、私の学生のほとんどは、こうした普通の反応をはるかに超えて行動する方法を見つけました。

彼らはこの従来の前提に意義を唱えるという課題を真剣に受け止め、できるだけ多くの価値を作りだすために、たくさんの可能性を示しました。

Section ３

学生たちはどのようにこなしたのでしょうか？

ここにヒントがあります。

一番多くのお金を稼いだ数チームは、5ドルをまったく使いませんでした。

彼らはお金に集中することが、実際は問題をがちがちに設定しすぎてしまうことに気づきました。

5ドルは本質的に意味がないものと理解し、そして問題をより広い視点から解釈しなおすことにしました。

もし完全になにもない状態で初めたら、お金を稼ぐために、私達は何ができるでしょうか。

Section 4

では彼らは何をしたのでしょうか？

ほとんどのチームがとても独創的でした。

あるグループは多くの学生の町で共通している問題を突き止めました――それは土曜日の夜、人気レストランでのイライラさせるほど長い行列でした。

このチームは列に並びたくない人のお手伝いをすることにしたのです。

彼らはペアになって、いくつかのレストランで予約を取りました。

予約時間が近づくと、その予約を１つ最高２０ドルで、長い待ち時間を喜んで避けるお客さんに売りました。

Section 5

別のチームはさらに単純な方法を採用しました。

学生会館の前にスタンドを設け、自転車のタイヤの空気圧を無料で測ると宣伝しました。

もしタイヤに充填が必要だった場合、１ドルで彼らは空気を入れました。

自転車に乗る人たちは、近くでただでタイヤに空気を入れられるし、空気を入れる作業はチームのメンバーが簡単に行えるとしても、チームのメンバーは自分たちが便利で価値のあるサービスを提供しているんだということにすぐに気づきました。

実際に、その２時間の途中で、このチームは特定の金額をお願いするのをやめ、その代わりに寄付をお願いしました。

彼らの収入は大きく増えました。

客が決まった値段を支払うようにお願いされるよりも、無料のサービスに自発的にお金を払っているときのほうが、彼らははるかに多くの額を稼ぎました。

Section 6

こうしたプロジェクトのどれもが数百ドルの収益をあげ、そして同じ講義に出ていた学生たちはとても感動しました。

しかしながら、最大の利益を上げたチームは、完全に違うレンズを通して、自由に使える資源を見つめ、650ドルを稼ぎだしました。

このグループの学生たちは、持っている一番価値の高い財産は５ドルでもなければ２時間でもないと突き止めました。

その代わりに、一番貴重な資源は月曜の３分間のプレゼン時間だと彼らは察知したのです。

彼らはクラスの学生を勧誘したいと思っている企業に、それを売ることにしました。

そのチームは企業のために３分間の「宣伝」を作って、そしてそれを前の週に何をやったかを発表することになっていたはずの時間に学生に見せました。

これは素晴らしい考えでした。

Section 7

残りの11チームのそれぞれが、毎年恒例のウィーン舞踏会で写真室の運営、地図を売ること、週末父母の会の間に地元のレストランを目立たせること、そしてクラスの学生に特別注文のTシャツをデザインして売ることを含めて、お金を稼ぐさまざまな方法を見つけました。

あるチームは、雨の日にサンフランシスコで売るための傘を学生たちが購入したとき、活動を始めた途端に天気が回復してしまい、実際にはお金を失いました。

そして、そうあるチームは洗車場をして、あるチームはレモネードスタンドをはじめましたが、彼らの利益は平均よりもずっと低かったのです。

Section 8

上に述べられた活動は、いくつかの直感に反した点を強調します。

まず第１に、チャンスはいっぱいあるということです。

どこでも、いつでも、周りを見回して、解決が必要な問題を見極めることができます。

人気のレストランで席をとることや、自転車のタイヤに空気を入れることのように平凡なものもあります。

多くの問題は、私達がよく知っているように、ずっと大きく、そして重要な世界規模の問題に関係しています。

成功した資本家であるビノッド・コースラが、明言しています「問題が大きいほど、チャンスは大きい。問題ではないことを解決するためにだれもあなたにお金を払わないだろう。」

Section 9

第２に問題の大きさに関係なく、問題を解決するために、すでに思い通りになる資源を使う創造的な方法が大抵の場合あるものです。

実際にこれは、私の同僚たちの多くが起業家精神のために使っている定義です――起業家とは、チャンスに変わりうる問題をいつも探していて、目標に到達するために限られた資源を活用する創造的な方法を見つける人です。

たいていの人は、まるで問題は解けっこないと言わんばかりの姿勢で問題に接し、したがって、創造的な解決策がすぐ目の前にあるのが見えないのです。

Section 10

第３に、私たちは問題を狭く考えすぎることがよくあります。

２時間でお金を儲けるといった、単純な課題が与えられたとしても、たいていの人は普通の反応にすぐに飛びつきます。

後ろに下がって、問題をもっと広く見ようとはしません。

思考の妨げになるものを取り去れば、可能性の世界が開けているのです。

このプロジェクトに参加した学生たちは、この教訓を胸に刻みました。

多くが後になって、解決されることを求めている身近な問題がいつだってあるのだから、一文無しあになることに対して言い訳は決してできないと振り返りました。

問題は創造的な解決策へのチャンスだと考えられるということを、学生たちは学んだのです。