わやくの部屋

CROWN 2 -Lesson 8

Working against the Clock
時の流れに逆らう(過去と戦う)

There never was a good war or a bad peace. - Benjamin Franklin

良い戦争も、悪い平和も、あったためしがない。ー ベンジャミン・フランクリン

対人地雷は人々を傷つけるように、あるいは人々の命を奪うように設計されています。対人地雷は見つけたり、除去したりするのがとても難しいのです。地雷を発見し、破壊する国際的な取り組みに参加している日本人科学者もいます。廣瀬茂男さんは数種類の地雷除去ロボットを発明してきています。

Section 1

対人地雷は、踏まれたときに爆発するように、地面の上や地中に埋設されます。

対人地雷にはたった1つの目的しかありません―人を殺したり、傷つけたりすることです。

地雷によって傷ついた人のうちの多くが、ゆっくりとした死を迎えます。

生き延びた人も、悲惨で、貧しく、差別を受ける生活を送ることが多々あります。

地雷は見えないし、聞こえません。

地雷には兵士なのか、子供、おばあさん、牛、象なのか区別できません。

何かが地雷に触れてしまえば、爆発します。

地雷はとても長持ちします――50年、おそらく1世紀でさえも、機能を発揮し続けます。

世界中にどれくらいの地雷があるのか誰も知る人はいません。

2001年には5千万個もの地雷がありました。

進展がみられていますが、2015年には地雷で6,400人以上が死亡または負傷しました。

民間人は被害者の78%を占め、 それらのうち38%は子供でした。

80分ごとに1人の被害者がいます。

Section 2

地雷を除去する努力が払われています。

対人地雷の使用を終わらせることを目指すオタワ条約が1999年に発効し、今では150以上の国によってサインされています。

地雷除去計画は進行中なのです。

しかし、国家やNGOは、そんなにも多くの地雷を何とかして除去できるものなのかどうかという重大な疑問があります。

答えは簡単です。この除去活動は、たくさんの人の手助けがなければ決して達成できません。

廣瀬茂男さんは、お手伝いする方法を持っていると考えています。

日本は、世界で製造されるロボットのうちの70%近くを作っています。

しかも、廣瀬さんは長年ロボットを作ってきています。

廣瀬さんは、1990年代初めからロボット工学を応用した地雷除去の国際的な取り組みに協力してきています。

1996年、廣瀬さんは、地雷除去ロボットに関する最初の研究論文を発表しました。

廣瀬さんが地雷を見つけ、取り除くために開発した最初のロボットは、タイタン9号と呼ばれました。

全長1m、全幅90㎝のロボットでした。

地雷を見つけ、安全化するために、タイタン9号は、4本の足で岩の上でも、砂の上でも歩き回ることができます。

廣瀬さんは今、地雷に圧力を加えないで、茂みを通り抜けられるヘビ型ロボットを開発中です。

Section 3

2002年、日本の政府は、地雷を探知・除去するための技術を調査する研究グループを作りました。

この研究グループはアフガニスタンが戦争の荒廃から立ち直るのを支援する国際的取り組みの中の日本が担当した分野でした。

廣瀬さんはこのグループと一緒にアフガニスタンを訪れました。

廣瀬さんは、現地の人が地雷を一つ一つ単純な道具で安全化しているのを目にしました。

最初に、現地の人たちは、地雷の場所を特定しなければいけませんでした。

それから、とても注意深くナイフで地雷の周りを掘って、上から泥を取り去りました。

地雷が見えてくると、指で信管を取り除くか、あるいは起爆装置で地雷を吹き飛ばしました。

この作業がどんなに危険なものかを見て、廣瀬さんは、自分が開発したロボットでこの作業を行う方法があるに違いないと考えました。

地雷除去作業をタイタン9号がどのようにして手伝ってくれるのか、廣瀬さんはアフガニスタンの人たちに説明しました。

驚いたことに、タイタン9号はアフガニスタンでは役に立たないと、アフガニスタンの人たちは考えていました。

問題点が3つありました。

まず第1に、タイタン9号は値段が高すぎました。

第2に、壊れたときに修理しにくかったのです。

第3に、そして一番大切なのですが、アフガニスタンの人たちは、タイタン9号が地雷を除去する自分たちの仕事を奪ってしまうのではないかと心配したのです。

Section 4

日本に戻って、廣瀬さんは、アフガニスタンで見つけた問題点を解決する作業に取りかかりました。

思いついたアイディアは普通の4輪車を使うというものでした。

グリフォン5号を開発しました。

地雷がある場所を特定できる、動かせる腕がついています。長い1本の腕を伸ばして、地雷があるところに印をつけることができます。

その後で、アフガニスタンの作業員たちが、単純な道具で地雷を取り除くことができます。

ということは、アフガニスタンの人たちは仕事を確保し続けられるということを意味します。

グリフォン5号はタイタン9号よりずっと安いし、壊れた場合には簡単に修理できます。

しかも、この新しいロボットをアフガニスタンの作業員が操作するのは簡単です。

他にも日本人科学者と技術者が、いろんなタイプのロボットの開発に取り組んできています。

千葉県のある大学の研究者たちは、金属探知機を搭載した昆虫型のロボットに取り組んでいます。

あるNPOは、画面上に地雷の映像を映し出すロボットを開発してきています。

山梨県のある企業は、地雷を爆破させることによって地面から地雷を取り去る機械を開発してきています。

廣瀬さんと他の日本の科学者と技術者は、地雷除去技術を大いに進歩させています。

日本は地球から地雷を取り除く国際的な運動に貢献しています。

時間を無駄にはできません。私たちは、時間と競争で奮闘しています。