就活総合情報サイト

就活マストアイテム

研究内容について③

さて、前回までは「研究内容の基本的な書き方」と「人事向けの研究内容の書き方」について解説しました。今回解説するのは国立研究所等の自分の研究内容の専門家が在籍し、バリバリの研究体制の会社に向けて提出する研究内容です。はっきり言って、ほとんどの方には関係ないと思います。いくら技術者が面接官であっても、自分の研究内容どんぴしゃの人は一般企業ならばまずいないからです。

しかし、研究所相手であっても基本的に研究内容には「課題」「現状」「研究」「成果」「今後」の5要素は欠かせません。その比重は変わってきますが。。

今回は具体的に私が内定を頂いた時に提出した研究内容を掲載します。専門的な内容自体は参考にはなりませんが、このくらいまで練らなければならないという見本として掲載致します。



[研究者向け]研究内容の書き方

では具体的に某国立研究所の物性研究所に提出した研究内容です。

スピントロニクス材料としてⅢ—Ⅴ族やⅡ—Ⅵ族化合物半導体に遷移金属元素を添加した磁性半導体の探索が行われており、キャリア密度制御を通じた磁気的特性の制御が報告されていますが、そのキュリー温度(TC)が室温より著しく低いために実用化は困難です。TCの改善には遷移金属元素の高濃度添加が不可欠だという報告がある一方で固溶度の問題があり、室温を超えるTCを持つ磁性半導体は未だ合成されていません。そこで私は磁性半導体の母体材料として高濃度添加可能なIV—VI族化合物半導体に注目し、第一原理計算により新規磁性半導体をデザインします。現在、室温を大きく超えるTCを持つ系を探す事に成功し、さらに同時ドーピングによって相分離を抑える可能性を見いだしました。今後はモンテカルロシミュレーションによるTCの精密計算を行い、さらに相安定性に関する議論を重ね、最終的にはスピントランジスタ等に応用されうる新材料を提案することが目標です。

これも400字程度のものです。例に漏れず5要素を①から⑤まで順番に記しています。ただ、人事向けの時とは大きく異なり「自分の研究のオリジナリティ」と「自分の成果」を全面に押し出しました。研究所に関しては、おそらく人事がESを読んだ時点で自分と一番専攻の近い研究者を面接官の1人に呼んでくるはずです。相当厳しい質問が来ると思います。普段どれだけ研究に対して真摯に向き合えているかが重要です。具体的なアドバイスはできませんが、どんな質問が来たとしても堂々として下さい。自分が答えても「それは違うよ。○○はこうだから××はこうなるはずだとは考えなかったの?」など、経験値が豊富なのでいくら対策してもその上から質問が飛んでくるのです。面接官は正解を答える事を最重視しているわけではありません。自分自信でしっかりと考え動じずに堂々と受け答えできるかを見ているのです。

今回で研究内容についての注意点はおしまいです。ESの添削方法等は他のコンテンツで解説しますが、おそらくほとんどの方は一般企業に就職されると思うので、基本的には人事向けのものを参考にしてください。「分かりやすく」伝える能力も、とても大切なコミュニケーション能力なのです。

研究所向け研究内容アドバイス

研究に対して深く具体的に言及しましょう。それでも5つの要素は絶対に入れる事。

最も重視するべきは自分のオリジナリティ